生産者情報 Vol.1

Producer Vol.1

アタ・ランギ

アタ・ランギ

牛飼いからワイン生産者に…アタ·ランギの誕生

1980年頃、ニュージーランドでは新しいワイナリーが次々と出来ていました。DSIR(ニュージーランド科学技術研究庁)の地質学者だったデレク・ミルンは、ドイツのガイゼンハイムというワイン醸造研究所で数年過ごし、マーティンボローは日照積算温度、降水量、土壌がブルゴーニュと似ているという調査をまとめ、弟とともにマーティンボロー・ヴィンヤードを興しました。

アタ・ランギの創業者クライヴ・ペイトンが最初の畑を興したのもこの頃です。アタ・ランギとはマオリ語で"夜明けの空"、"新たな始まり"を意味します。

マーティンボロー・ヴィンヤード、アタ・ランギ、ドライ・リヴァー、チフニーの4つのワイナリーがマーティンボローのパイオニアです。

 

当時、クライヴは牛を飼っていてワインを造ったことがありませんでしたが、興味はありました。

そこで1980年にマーティンボローの町の外れに5haの痩せた牧草地を購入し、ピノ・ノワールの他、カベルネ· ソーヴィニヨン、メルロ、シラーを植えました。ブドウが成長するまでの間、生計の足しにニンニクとかぼちゃを植え、がむしゃらに働くばかりでした。

初のヴィンテージは1984年のレッド・ブレンドで、1985年にピノ・ノワールを初めて生産。造るワインは毎年全て売切れ、ワインセラーを訪れる人々はワインが買えることを喜んで、車のトランクいっぱいに購入していくようになりました。

 

ロマネ・コンティのクローンを持ち帰ったゴム長靴(=エイベル)クローン

1970年代、ニュージーランドの税関職員でブドウ栽培をしていたマルコム・エイベル氏が、あるニュージーランドの旅⾏者がロマネ・コンティの畑に忍び込み、違法に持ち帰ったブドウの穂木を入国時に没収し、検疫所で検査した後、それを自園の畑に植えたものがエイベル・クローンの始まりです。

 

エイベル氏の知⼈だったクライヴ・ペイトンは、亡くなったエイベル氏から、彼の畑に植えられていたその樹を譲り受けて自分たちの畑に植え足し、それらの樹からピノ・ノワールを造りはじめました。

現在、アタ・ランギ・ピノ・ノワールの区画の多くはこのエイベル・クローンが中核となっています。
そのため、アタ・ランギはニュージーランドのロマネ・コンティともいわれています。

 

自然と調和したワイン造り

現在、アタ・ランギは計55haの畑からなりその半分は自社畑と一部リース契約により自社で栽培管理をしています。シルト粘⼟質に覆われた水はけのよい⼟壌で、年間降⾬量が平均700mmと少なく、収量は1ha当たり4tと低収量に抑えられています。平均樹齢は25年で、これらの畑の条件がアタ・ランギのクオリティの要となっています。

マーティンボローは、湾から内陸に向かって吹きつける強い風により、春先の開花時期の結実が難しく、他の地域よりも樹1本あたりの房数が非常に少なく、またブドウの実が風から自己防御するように果皮を厚くし、それが風味を凝縮させるといわれています。

 

アタ・ランギでは殺⾍剤、化学肥料、除草剤などは使⽤せず、調合剤やワイルドフラワー、地下の自然の⼟を掘り起こし散布するなど、有機栽培と一部バイオダイナミック栽培を取り入れています。20年以上にわたり国際標準化機構 (ISO) が発⾏する、環境マネジメントシステム ISO140を導入しています。 アタ・ランギのすべての自社畑は2014年にNZのオーガニック認証機関バイオグロ(Bio Gro)の認証を受けました。

 

今では単に有機栽培をするということだけでなく、ワイナリーにソーラーパネルを設置したり、二酸化炭素やディーゼル油の使用量削減など、毎年新しい取り組みを行っています。

 

「ワイナリーよりも畑で栽培するブドウのほうが肝心なのです。まずは、栽培から始まり、畑で正しく対応すれば、よいワインは自ずとできるものなのです。」

アタ・ランギの醸造責任者である、ヘレン・マスターズは語ります。

 

単一畑への新たな挑戦

オレゴンで最も有名な生産者と言っても過言ではない3ツ星生産者、ケン・ライト・セラーズ。マクローン・ヴィンヤードは、オレゴンで「ケン・ライト・セラーズ」にブドウを供給しているマクローン夫妻が、「ヴィンヤードプロジェクト」としてアタ・ランギとともに造った畑で、2001年に植樹されました。

 

アタ・ランギの ホームヴィンヤードから東へ600m離れたマクローン・ヴィンヤード (2.8ha)は、砂利質⼟壌の上層を粘⼟層(80cm)が覆います。 粘⼟層の特性が反映されており、アタ・ランギ ピノ・ノワールと比べると、明るいスパイシーさよりも森の下草を思わす土っぽさが表現され、よりタンニンのスケールの大きさが感じられます。

2008年に初めて単一畑として仕込まれ、2013年に公式に初リリースされました。2011年にマクローン夫妻が引退し、アタ・ランギが畑の所有者となりました。

 

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